ほうそう

  • 放送
  • 包装
  • 法曹
  • 疱瘡
“放送” と “包装” は ともに “ホウソウする” となる動作性名詞です。
“疱瘡” も ”法曹” も 名詞です。

処方せん

放送
ファンソン/フォウソウ/フォンソン/ハアソン
包装
ポウソウ/パオソウ/ハオソウ/ハオシャン
法曹
ハフゾ/ハッソ/ホッソ/ハウゾウ
疱瘡
ポウソウ/バオソウ

解説

“放送” “包装” “疱瘡” “法曹” いずれも名詞です。

“疱瘡” は 天然痘またはその痕をさす語で、別種で水疱瘡(みずぼうそう) などでも知られる語ですが、も常用漢字ではないということもあってか 漢字表記が日本語で使用されることは まれです。

”法曹” は 検察官 弁護士 裁判官など法律関係の職につく人やその業界を言います。重大事件で法律に関する議論が特に活発になる際にはこの言葉がテレビなどニュース報道で使用されることがありますが、同時に“放送” とも絡んでしまうので紛らわしいときがあります。

“包装” も 一般的に広く使われる語ですが、“放送” とのみ重なりやすいです。 “放送” と “包装” は ともに「ホウソウする」の語形で使われる動作性名詞です。“館内放送” と “包装紙” など 同時に使われうる環境もあることでしょう。

の字は “梱包(コンポウ)” など熟語で「ポウ」と読まれると同時に、「パオ」の読みが中国料理や麻雀用語などでも知られます。

は “装備” の「ソウ」ですが、“装束(ショウゾク)” の「ショウ」でもあります。ですが ホウソウ を ホウショウ に しても “報奨” や “法相”と重なるのでこれは意味がありません。の部分が共通した字は複数あり、“壮大(ソウダイ)” や “別荘(ベッソウ)” など基本的に同じ「ソウ」です。

カブらせないようにしようとすると、中国式の「チュアン(zhuang)」の発音から「チャン」「シャン」あたりに逃がす事はできますが、日本人の馴染みのある語にないので かなり分かりにくいです。

このあたりからすると “包装” に対しては「ポウソウ」「パオソウ」あたりが適当と見られます。

文脈や伝える相手次第では「ラㇷピング」「パㇰケージ」、または単に「包み(つつみ)」という言い換えが良いときもあるでしょう。

は同じ部を共有しており、うちは常用漢字でないため無理に変更の必用はないですが、分かりやすさから言うと同じ音を用いたほうが良いでしょう。

しかし日本語では伝統的に、ゴミ・ゴキブリ・ダニ・ブヨでも、忌み嫌う存在に対しては 濁音を好んで使います。このことからには /p/ ではなく /b/ の有声音で「バオ」「ブオ」などの方が適しているかもしれません。

の字は基本「ホウ」ですが、“法被(ハッピ)” “法主(ホッス)” “法華宗(ホッケシュウ)” など主に仏教に関連して促音がつく単語があり、これは漢語の極めて古い発音の「ホㇷ」「ハㇷ」( hop ) の 入声の名残りであると考えられます。

「ハッソウ」だと“発送” となってしまうので、にも手を加え 短く「ソ」を使って「ハッソ」「ホッソ」、濁音の「ゾ」で「ハフゾ」あたりが考えられます。「ハウゾ」のように「う」を入れると “這うぞ” のような動詞+助詞と重なるのであまり使い勝手は良くありません。

の字は元は 食料や資材を表す2つのの下にの字を重ねた会意字で、“重曹” や他に “軍曹” とか、三国志に出てくる“曹操”など中国の人名に現れるくらいで、音を変えても あまり他に影響しません。

“法曹” や “法” の言い換えとしては 耳で聞き分けやすい語で “リーガル(Legal)” あたりをベースに考えると良いでしょう。”ロー(Law)” だとraw, row, low とカナで書き分けられず、聞き分けも難しく、さらに日本語では  と紛らわしいので良くありません。

“放送” という単語は非常に良くできた近代的造語で、一度にたくさんの相手に広く情報を送ることを言い、言い換えとしては「ブロードキャスト」という言い方がありますが、これは長すぎるので少し使える場面が制限されます。縮めての「キャスト」は 演じる または 演者 の意味にも解釈されるのでこれも難しいです。唯一 動詞での “放送する” の意図では 川や電流などに たとえ「流す(ながす)」が よく使われます。

の時には音読みでは「ホウ」しかなく、旧仮名遣いで「ハウ」か、中国普通話から「ファン」か広東語「フォン」あたりから借りてくる事が考えられます。「フォン」は phone(フォーン) と少し重なりますが、意味的に近いところがあるので「ファンソウ」「フォンソウ」、また「ウ」を混ぜて「フォウソウ」など考えられます。

発音の容易さという観点では「ホー」と「はなつ」の訓読みに近づけて「ハー」(ハア) も良いかもしれません。

は基本「ソウ」ですが、中国読みでは「ソン」に近くなります。  など すでに この読みは使われていますが、「ソウ」よりは衝突が少ないので組み合わせ次第では置き換えが有効です。前の音で「ウ」が生きている場合はその流れに合わせて「ソウ」が分かりやすいですが、「ファン」など「ン」が入いるなら「ソン」に寄せると発音が楽になるでしょう。

使用されている文字

  • [1]
    ホウ(漢音)/ハウ(旧仮名遣)/パオ(bao1:普通話拼音)/
    つつむ(訓読)
  • [1]
    ホウ(呉音・漢音)/ハウ(旧仮名遣)/ファン↘︎(fan4普通話拼音)/
    はなつ(訓読)
  • [1]
    ソウ(漢音)/サウ(旧仮名遣)/サオ・ツァオ↗︎(cao2:普通話拼音)
  • [1]
    ホウ(呉音・漢音)/ハフ・ホフ(旧仮名遣)/ファア(fa3普通話拼音) /のり・のっとる(訓読)
    /(異体字)灋
  • [1]
    ヒョウ(呉音)/ホウ(漢音)/ヘウ・ハウ(旧仮名遣)/パオ↘︎(pao4:普通話拼音)/もがさ(訓読)
  • [1]
    ソウ(漢音)/サウ(旧仮名遣)/チュアグ(chuang1:普通話拼音)/かさ(訓読)
  • [1]
    (旧字)裝/ショウ(呉音)/ソウ(漢音)/シャウ・サウ(旧仮名遣)/チュアン(zhuang1:普通話拼音)/よそおう(訓読)
  • [1]
    ソウ(漢音)/ソン↘︎(song4:普通話拼音)
    おくる(訓読)

この衝突語リストは、日本語に おいて同音異義語、あるいは文中に 単語をまたいで登場し、 聞き違いや カナからの変換時に誤変換を よく起こすものを ピックアップしたものです。

ここで示されている「処方せん」は、あまり一般的では ないものを 多く含みますが、 変換辞書に登録し 学習により上位にでるように することで 入力時の誤変換を減らす効果を期待できます。

一部特殊な拗音や別の文字種、変体かななど特殊な表記を使用する場合があり、 昭和から続く日本語のカナ<現代仮名遣い>の構成で 表記が認められていないものについては 現行の漢字変換ソフトそのままでは対応不能なものもあります。

将来的には 制度改定や 続いてシステムがアップデートされていくことが望ましいですが、キーマッピングの変更などでもある程度の調整が可能です。

その他の衝突語