たいしょう

  • 対象
  • 対照
  • 対称
  • 対症
  • 大正
  • 大将
  • 大勝
  • 大賞

処方せん

対象
タイゾウ/タイザウ
対照
タイセオ/タイシャオ
対称
タイチョン/タイチェン
対症
タイチェイ/タイシェイ
大正
タイショウ
大将
ダイジョン/デイジョン/ダイジャン
大勝
おおがち/ダイシォン
大賞
デイショウ/ダイシャン

解説

で始まるものとで始まる複数の熟語の対立です。

まず “大正”(タイショウ) に関しては 日本の年号で 大正時代のことを指しますが、一種の固有名詞のようなものなので、これはどうしようもありません。文脈的にまぎらわしい状況では 基本 “大正時代” とフルに指定した上で、 他の語句が これと重ならないように工夫することになります。

は 古い方の呉音で「ダイ」、より新しい方の漢音で「タイ」の読みがあり、“大半”(タイハン) “大抵”(タイテイ) “大国”(タイコク) “大切”(タイセツ) など語頭では「タイ」が多く、“偉大”(イダイ) “巨大”(キョダイ) “広大”(コウダイ) など 後ろに来ると 濁音の「ダイ」がほとんどになります。

中国普通話 などをあたると 拼音では da と書くものの発音は「ター」に近い音です。あいさつで 大家好(タージャハオ)と言うので 吹き替えでないニュースなどを探せばすぐ聴くことができます。

日本語では 「たい」は “痛い” “硬い” のような語幹にを持つイ形容詞や、“見たい”、“聞きたい” のように欲求を表す助動詞にもあるため、語末で「たい」を使うと混乱が生じやすくなる可能性があります。

朝鮮語で 金大中(キムデジュン)の「デ」でもありますが、これは語頭では濁らず「テ」あるいは「テー」になります。この音を持ってくるのは やや無理があるようですが、国内の例でも関東のナマリでは「ありがたい」が「ありがてー」のように 「アイ」が「エー」に転訛するパターンがあります。このエリアでは “大層”(タイソウ)は「テーソウ」であり、“大事”(ダイジ) は「デージ」ですから、「ダイ」「タイ」の代わりに「デイ」「テイ」を使うことも不自然ではありません。

が頭につく単語は 大きなものなら すべてに あてはまり、“大企業” “大地震” “大損害” など無限にあります。 「ダイ」だと が ありますが、「デイ」だとのみで重複を生じにくいため、ここに逃がすと有効と考えられます。

“対象” “対照” “対称” の 3つは いずれも 常用漢字の範囲内ですが、それぞれ言っていることが抽象的で、漢字を習いたての同じ字を使う語彙ごいが少ないうちには区別が難かしい熟語たちです。

意味としてはそれぞれ和語で言えば「まとを しぼる」「くらべて めだつ」「むかって つりあう」のようにすれば良いのですが、そうも効かない状況もあります。特に “対称” は “線対称” や “点対称” のような算数の用語として定義されていたりするので、他と区別して覚えざるを得ないこともあるでしょう。

は訓読では「てらす」ですが、は「かたどる」と読むものの常用漢字の範囲外、はハカリが釣り合うという意味ですが そのものズバリこれだという訓読がありません。“名称” という単語がありますが、“対称” と同じが使われる理由を理解するのは かなり難かしいです。

もともとの略字で、日本語での音読みは「ショウ」しかありませんが、この字は中国普通話の拼音ではcheng1と書き「チョン」あるいはchen4で「チェン」のような発音となります。つくりにを含んでいるように見えますが、釣った魚の重さを 手で掴んで はかる 様子を表しており、小さい人を かたどったと同じ音にそろえる必要はありません。

の読みも呉音漢音ともに「ショウ」としか読みませんが、中国普通話だと zhao4で「ツァオ」となり、はxiang4で「シャン」と読むのでは すべて異なるということになります。

は旧仮名遣いでは「セウ」でもあり、または「ゾウ」あるいは旧仮名遣いで「ザウ」となります。

“対症” は 「症状に対して」の意味ですが “対症療法” のような特定のワードと強くコロケーションを持っているのであまり音の区別は必要ないですが、“症状”vs“賞状”、“症例”vs“奨励” のような形で 自体に同音衝突が見られます。

を付けたも形声字ですのでの音と合わせるのが分かりやすいです。したがって直接「セイ」の読みが考えられる他、中国普通話 zheng (チォン、チェオン) の音を借りることが使えます。もとの「セイ」「ショウ」と近く、日本語のカナとしても扱いやすいところでは「チェイ」「シェイ」「チェン」あたりも考えられます。

使用されている文字

  • [1]
    ショウ(呉音・漢音)/ション↘︎(sheng4:普通話拼音)/
    かつ・まさる(訓読)
  • [4]
    ダイ(呉音)/タ・タイ(漢音)/タア↘︎(da4:拼音)
    おお(訓読)
  • [4]
    (旧字)對/タイ(呉音・漢音)/ツイ(唐音)/ドゥイ↘︎(dui4:普通話拼音)/
    むかう・こたう(訓読)
  • [1]
    將(旧字)
    ソウ(呉音)/ショウ(漢音)/シャウ(旧仮名遣)/チャン(jiang1:普通話拼音)
  • [1]
    ショウ(呉音)/セイ(漢音)/シヤウ(旧仮名遣)/チョン↘︎(zheng4:普通話拼音)/
    ただしい・まさ(訓読)
  • [1]
    ショウ(呉音・(漢音)/セウ(旧仮名遣)/ツャオ↘︎(zhao4:普通話拼音)/
    てる(訓読)
  • [1]
    ショウ(呉音・漢音)/チォン↘︎(zheng4:普通話拼音)
  • [1]
    (旧字)稱/ショウ(呉音・漢音)/(秤)チョン↘︎(cheng4:普通話拼音)/
    たたえる・となえる・はかる(訓読)
  • [1]
    ゾウ(呉音)/ショウ(漢音)/ザウ・シヤウ(旧仮名遣)/シャン↘︎(xiang4:普通話拼音)/
    かたち・かたどる(訓読)
  • [1]
    ショウ(呉音・漢音)/シャウ(旧仮名遣)/シャン⤻(shang3:普通話拼音)/
    ほめる・めでる(訓読)

この衝突語リストは、日本語に おいて同音異義語、あるいは文中に 単語をまたいで登場し、 聞き違いや カナからの変換時に誤変換を よく起こすものを ピックアップしたものです。

ここで示されている「処方せん」は、あまり一般的では ないものを 多く含みますが、 変換辞書に登録し 学習により上位にでるように することで 入力時の誤変換を減らす効果を期待できます。

一部特殊な拗音や別の文字種、変体かななど特殊な表記を使用する場合があり、 昭和から続く日本語のカナ<現代仮名遣い>の構成で 表記が認められていないものについては 現行の漢字変換ソフトそのままでは対応不能なものもあります。

将来的には 制度改定や 続いてシステムがアップデートされていくことが望ましいですが、キーマッピングの変更などでもある程度の調整が可能です。

その他の衝突語