“整理” は「セイリする」の語形で使われる動作性名詞です。
いっぽう “生理” は “生理食塩水” や “生理現象” など 形容詞的に用いられる名詞です。女性の月経に関する遠回しな言い方でもあります。英語で physiology (フィジオロジー) や physiological と言い換えられなくもないですが、長くて正しいカナ表記が定めにくく、あまり便利とは言えません。
“整理” は “片付け” など言い換える表現は あるものの 処分する意味合いが含まれるなど完全に一致させるのは難しく、手頃に対応できるのは整理整頓とか 書類整理とか どうしても何か付け足すことになりがちで、文字を増やさずは難しい語です。
“生理” と “整理” では ともに理
の字を共通に持つため、ともに音読みのままで区別しようとすると生
と整
の字の音の衝突を解かねばなりません。ここで整
は敕
の下に正
を置く会意形声字で音を同じくするため、正
と生
の衝突に帰結します。
いずれも日本語では「セイ」「ショウ」の両方の読みがあり、“公正” “校正” “更正” “厚生” “更生” “抗生”、“生死” “正史”、“生体” “正対” など多量の衝突、また星
性
征
政
など共通の部を持つ字もそれぞれ多くあります。
変更は極めて困難ではありますが、新しい音を当てることは 変換ミスや聞き違いを防ぐには かなり有益でしょう。
中国の読みでは、生
には普通話で「ション (sheng1)」であり、また近い字で産
には「サン」もあるなど、後ろの字には「ン」が適している可能性があります。
対して正
のほうは zheng4 で これは「ツォン」「チョン」「チォン」などに あたります。広東語をあたると「チェン(zing)」に近くなります。チョンは「丁髷(ちょんまげ)」の字があるものの、他はどれも日本語に無いので 副作用はあまり考えなくて良いです。
またそれらの子音だけ借りて日本語の「セイ」音に近くすると、他に「ツェイ」「チェイ」なども考えられます。「チェイ」は 英語由来の「チェイン(chain)」「チェイサー(chaser)」などカタカナ語に現れることから、すでに聞き分けは十分可能でしょう。
どちらのケースもですが、「ショウ」には旧仮名遣いで「セウ」の書き方があります。廃した仮名遣いとは言え、「セイ」と「ショウ」から1字ずつとった分かりやすさがあります。正
に対して ツァ行・チャ行を当てるなら、対比として生
には「セウ」は 有効です。漢字変換IMEに “整理”が誤って現れないように “生理”=“セウリ” で登録しておくと 新型の入力であることを示すことができます。