こうにん

  • 公認
  • 後任
“公認” “後任” は、どちらも「コウニンする」ということができる動作性名詞です。
あるいは「コウニンの(人名・役職名)」の形で形容詞的にも用いられます。

処方せん

公認
コウニン/クォニン
後任
ゴッニン/ゴオニン/あとまか

解説

“公認” “後任” は、どちらも「コウニンする」ということができる動作性名詞です。またどちらも「公認の何に某」の形で人や役職などと結びつきやすく、漢字変換誤りの起きやすい関係にあります。

どちらも「コウ」と「ニン」と読む2字の組み合わせからなります。

は、“公開”vs“後悔”(コウカイ)、“公報”vs“後方”(コウホウ) でも対立があり、このどちらかは違う読みが使えるほうが便利でしょう。

は、“新任”vs“信認”(シンニン)、“辞任”vs“自認”(ジニン) で衝突します。これらの字は に比べると熟語の数自体が 少なめで あるので 比較的衝突は起こりにくく、変更しても影響は小さいです。

は「コウ」の他に “公家”(クゲ) の「ク」の音があります。訓読みでは「おおやけ」、また 歴史上人物などで “きみ” の読みが与えられることがありますが、常用訓読外になっています。

しかし「クニン」では “九人” となってしまうのであまり使い勝手は良くありません。「ク」と「コウ」の中間から考えれば、たとえば「クォ」あたりだと ローマ字で QOとすればよいので手間は小さくできます。

「_ォウ」の形を取る文字については、中国の音を参照すると多くが _ongの形です。このngに対して「ク゚」が出るように設定して kongで「コク゚」とするのもひとつの手です。

の字には「コウ」の ほかに、「ゴ」の音もあります。

語頭では “後退”(コウタイ) “後期”(コウキ) “後編”(コウヘン) “後悔”(コウカイ) など「コウ」の読みがよく使われます。“後日”(ゴジツ) “後光”(ゴコウ) “後妻”(ゴサイ) など例外もありますが多くはありません。反対に語末では “前後”(ゼンゴ) “午後”(ゴゴ) “背後”(ハイゴ) “最後”(サイゴ) “食後”(ショクゴ) など「ゴ」が使われます。

は訓読で「あと」「うしろ」があるほか、国後くなしりの「しり」の読みがまれに使われます。しかし「あと」は があり、「しり」は や “知り” と誤認の可能性があるので「うしろ」以外は使いづらい読みです。

この字は中国簡体字では同音のが使われるので、中国の読みを参考にする意義は特にありません。

(認󠄁)とはともに「ニン」の読みがありますが、これらは呉音とされ、漢音は「ジン」です。を「ニン」と「ジン」、を「ニチ」と「ジツ」の読みがあるのと同じですが、ni と zi はかなり乖離があります。これは現代では中間に「ディ」(di)や「ロィ」(ri)が あるだろうと言え、古代の発音はそのような中間の発音であった可能性をうかがわせます。このことから、「ディン」「ヂン」のような音を当てることも考えうるでしょう。

を「ジン」と読む熟語は現在ないのですが、その声符であるについては “壬申の乱”(ジンシンのラン)のように「ジン」と読むケースがあります。“賃金” の の形で含まれ「チン」の慣用音があるほか、は「ニン」の読みがあります。は腹に荷物などを抱えた人を表わす字で、  はそのイメージを共有しています。ほかに(廷󠄁)・が「テイ」の読みでを含んでいるようですが、ここは本来はではなくであるべき別の字で、無関係だとされます。

(認󠄁)は(忍󠄁)を含んでおり、この字は Ninja を示すものとして世界的に有名でもあります。の音を変えると両方変えないと覚えづらくなる可能性があるので、どちらかと言うとより変更が難しいと言えそうです。

と違う点としては、元の音が「ニン」でなく「ニㇺ」である可能性です。中古音でniəm とされ、また現代広東語では jamと示されています。

「ゴニム」という組み合わせは「くるしむ」のような動詞が存在しないことから、そのままでも漢字変換は問題なくできます。

使用されている文字

  • [1]
    ニン(呉音)/ジン(漢音)/ニム(旧仮名遣)/レン↘︎(ren4:普通話拼音)/
    まかす(訓読)
  • [1]
    (旧字)公󠄁/ク(呉音)/コウ(漢音)/コン(gong1:普通話拼音)/
    おおやけ・きみ(訓読)
  • [1]
    グ(呉音)/コウ(漢音)/ゴ(唐音)/ホウ↘︎(hou4:普通話拼音)
    あと・のち・うしろ(訓読)
  • [1]
    (旧字)認󠄁/ニン(呉音)/ジン(漢音)/レン↘︎(ren4:普通話拼音)/
    みとむ・したたむ(訓読)

この衝突語リストは、日本語に おいて同音異義語、あるいは文中に 単語をまたいで登場し、 聞き違いや カナからの変換時に誤変換を よく起こすものを ピックアップしたものです。

ここで示されている「処方せん」は、あまり一般的では ないものを 多く含みますが、 変換辞書に登録し 学習により上位にでるように することで 入力時の誤変換を減らす効果を期待できます。

一部特殊な拗音や別の文字種、変体かななど特殊な表記を使用する場合があり、 昭和から続く日本語のカナ<現代仮名遣い>の構成で 表記が認められていないものについては 現行の漢字変換ソフトそのままでは対応不能なものもあります。

将来的には 制度改定や 続いてシステムがアップデートされていくことが望ましいですが、キーマッピングの変更などでもある程度の調整が可能です。

その他の衝突語