いずれも音読みの漢字「カイ」+「トウ」の組み合わせです。
「カイ」は元々合拗音「クヮイ」と普通の「カイ」の2つがあり、これを1つにしてしまったことが衝突を増えた原因です。
回
怪
快
会
の4つの字は、元々「クヮイ」という発音が 当てられていた文字です。
小文字のヮ
は入力が難しいため ここでは後の時代に できたァ
の字を使いますが音は /kwa/と同音とします。
“会頭” と “回頭” は頭
の 字が共通しているので、どちらかを「ケ」または その合拗音「クェ」を使うことになります。
会
は呉音で “一期一会”(いちごいちえ)や “会得”(えとく) などで使われる「エ」の音と、もうひとつ「ケ」の音があります。
“会社” や “社会” など非常に多くの熟語を持つため 変更は容易ではないですが、会
の1字のみでも使用されやすいため、貝
階
下位
などとも分けることができます。
解
や径
の字も「ケ」と読むことができるため、「クェ」にする方が衝突を避ける上では有効です。
回
の字は“回向”(えこう)の「エ」または「ヱ」や、 “回鍋肉”(ホイコーロー)の読みで知られる「ホイ」や “回紇”(ウイグル)を表す「ウイ」など中華圏と日本でそれぞれ多くの音が存在します。
“回復”vs“開腹”、“回転”vs“開店”、“一回”vs“一介”vs“一階” など他でも衝突があります。
凍
は氷を意味する冫
に音の東
を合わせたものです。
この東
は、漢音で「トウ」あるいは 古く呉音では「ツウ(トゥウ)」ですが、 “広東省”(カントンショウ) などの語で日本でも比較的よく知られる「トン」との読み方も持っています。
「ツウ」は 通
痛
など別の字があり、「トン」では豚
屯
などがありますが、「トウ」に比べればかなり少なくなります。とくに「トン」に関しては熟語が非常に少ないので、違和感なく逃がすには最適の場所と考えられます。
党
の字は尚
+儿
(人) から成る文字で「トウ」また古くは「タウ」の読みをもちます。
この字の旧字体は黨
で、尚
と黑
(黒
の旧字体) が元で、光の当たらない隠れ家を意味します。「トウ」の音は新旧変わらず尚
の「ショウ」の部分から継いでいます。形が異なり音読みも違うので関連性は やや認識しづらいものがあります。
“党” というと ほとんどが 政治政党を指し、政
の字が無い “党首” や “党利党略” のような語もだいたいは政党を指します。“悪党” や “残党” などの政党と無関係な熟語も時々使われますが、どちらかと言うと映画や小説など少し古風な表現で、日常で耳にすることはまれです。
よって この字に関しては、現状より少し外れた音を使っても影響は限定的と考えられます。「タウ」や「ツァウ」「テオ」のように、日本語の漢字の読みに無いところを使うと効果的でしょう。党
は単独1文字でも よく用いられ、等
当
塔
糖
など 同音の1文字 漢単語と紛らわしいことがありますが、それを避けるのにも有効です。
盗
は “盗む” の字ですが元は盜
の略字で、次
ではなく㳄
の下に皿
です。㳄
の読みは「シェン」(xián)、「ユェン」(yàn)でヨダレを意味し、皿にヨダレを垂らす様子からなるとされます。羨
(セン)の下部を構成もしますが、同じ意味を持ちます。
字義からすると、「トウ」の読みでは少し語感がすっきりしすぎており、もうすこしヨダレっぽさを高めても良いかもしれません。旧仮名遣いから「タウ」、そこから崩れた「タオ」「ダオ」あるいは さらに乱れた「ダル」などが考えられます。
投
は「トウ」と常用漢字外で「ヅ」の読みを持ちます。
“快投”は 野球の投手の投球に対する表現として主に使われますが、分野がかなり限定されています。似た言葉で“好投” などもあります。
このような一種の造語は紙の新聞などでは紙幅を節約する効果があるかもしれませんが、スマートフォンの時代となっては“ナイス ピッチング” など 字数は多くても衝突しないような語句を選択することは できます。
そのかわり、“投棄”vs“登記“(トウキ)や、“投資”vs“凍死” などでも衝突を起こすため、そちらの理由で 逃がす必要が あります。
ここでは 入力上の都合も比較的良い“快投”(クァイツオ; kwai tuo)としておきます。
「ツ」は上代日本語では「トゥ」の同音でもあるので「トゥオ」と読んでも良いです。
残り “回頭”と“回答”で回
が共通して重なっているため、頭
と答
のどちらかも動かす必要があります。
答
は「トウ」また古くは「タフ」があります。中国語入力のピンインではdaであったり、ハングル入力のGongjinCheongは답
(dap)と打つなど、ター タフ ダフ に近い扱いをされています。
頭
の方は「ズ」または「ヅ」とも読みます。“頭巾”や“頭蓋骨”などで使われますが多くは ありません。また“音頭”(オンド)のように「ト」が濁り「ド」だけで使われたり、“饅頭”(マンジュウ)の「ジュウ」となることもあります。
これらを トウ と中間的な音をとると「ツ」や「ト」となります。
“頭蓋骨”を「トガイコツ」、“頭巾”を「トキン」、“頭脳”を「トノウ」と読んでも問題を生じず、同時に “会頭”をカイトとしても英語でkite(凧上げのタコ)としか当たりません。
“回頭”の語はあまり一般的ではないのでそのために頭
の字を変えてもあまり有効ではないですが、“頭首”vs“投手”(トウシュ)や“頭領”vs“棟梁”,“統領”,“投了”(トウリョウ) などもあるため、「トウ」に変わる音を積極的に使うのは有効と考えられます。