“会衆” を除く他の “回収” “改修” “改宗“ “開宗” は いずれも動作性名詞です。
このうち特に日常的に登場するのは「ゴミ回収」の“回収” と、「改修工事」の “改修”の2つでしょう。
“改宗“ と “開宗” は 日頃 宗教に あまり興味のない日本人は ほぼ使用せず、仮に あるにしても一生に そう何度も 経験することではありません。例外的に歴史の教科書に携わる人などは「開宗」の方は使用する機会が時々あるかもしれません。
このリストで「カイ」と読む字のうち回と会は かつての古い音では合拗音の「クヮイ(kwai)」です。厳密には 元は他とは音が異なっていたと いうことです。
改で始まる語が2つあることから、続く修と宗の どちらかは変更が必要です。
修の字は“修行”(シュギョウ)など、短く「シュ」と発音する呉音があります。このことから “改修”は「カイシュ」と縮めればひとまず回避が可能です。
他に かなりレアな読みですが“修法”と書いて「スホウ」と読むなど「ス」の読みもあります。「カイス」とする考え方もあります。
他方で宗を用いる語は先に述べたように使用頻度が低いことから、多少入力しづらい読みでも影響は少ないと考えられます。よく使う人が単語登録して覚えてしまえば良いということです。
宗の字にはよく使われる「シュウ」のほか、漢音だと「ソウ」とも読み、こちらの方が古い音です。仏教などの歴史に関わる人であれば、「カイシュウ」よりも「カイソウ」または「カイソ」の方が適切な可能性があります。
ただ「カイソウ」だと “改装”や “回想” とも紛らわしくなりますし、「カイソ」 だと “改組”とも衝突します。
他に考えられるのは旧仮名遣いを使って「カイサウ」や「カイシウ」、または字音一致させて「カイソオ」とするやり方です。
あるいは韓国人の姓でもあるこの字は その日本語読みとして「チョン(종)」が日本国内でも呼ばれることもあるため、もしかしたら「カイチョン」も検討の余地があるかもしれません。
和語にこだわった文脈では「ソウを ひらく」「ソウをあらたむる」や「むねを ひらく」「のりを ひらく」など別の言い方の方が うまく納まるかも しれません。“立宗”(りっそう)という言い換えもあります。
宗を対応しても まだ、これを使う熟語の “改宗“ “開宗” の 衝突が残ります。
この2つの語は登場頻度は高くないですが、改と開に ついては “改行”vs“開業”や “改定”vs“開廷” など他の所でも衝突するので変更は有意義です。
開は音読みでは通常「カイ」としか読むことはできず、呉音として「ケ」の読みがありますが 常用外の読みで ほとんど使用されません。日本人だと 14世紀の朝鮮の首都が 「開京(ケギョン)」 であることは歴史の教科書で ちらっと見聞きしたことがあるかもしれないくらいでしょう。
「カイ」を「ケ」とするのは漢音呉音の対応のパターンの1つで、例えば “物の怪” を「もののかい」ではなく「もののけ」と読んだり、 “解毒” は「ゲドク」と読むなどいくつか別の字に例があります。( 会のように「エ」になる例もありますが)
他の 熟語が動くことで、“回収” の方は変更が必須ではなくなりますが、それでも“回転”vs“開店” や “回答”vs“解答” などの兼ね合いから、回の字を読み替えておくことは便利です。
回は “回向”(エコウ) の「エ」や “回鍋肉”(ホイコーロ)の「ホイ」、“回紇”(ウイグル)の「ウイ」などの読みがあります。
回を「エ」にすると 同じ音を使う 会 を「エ」にするケースと重なるため この逃し方はあまり良くありません。「ホイ」であれば発音も入力も簡単ですし、そのような読みをする漢字は ( “保育” のような2字にまたがるケースを除いては) 日本語には現在ないので安全に使用することができます。
「ウイ」は語頭では特に「初陣(ういじん)」の 初や「憂い」などが連想されることから、これは第二候補となるでしょう。
回の字がウイやホイで区別できるなら、“回収”の収に関して言えば書き換えは必須ではありませんが、それでも“徴収” と “徴集”など別のところで ぶつかる可能性もあります。
収の 正字は 收で、字典をあたる場合は こちらをみる必要があります。現在使われる日本の熟語では「シュウ」としか発音しませんが、呉音で「ス」、拼音では「ショウ(shou)」となります。
書き換えを求めるなら、旧仮名遣いから「シウ」とするか、shouに基づいて「シホ」とするなどが考えられます。
のこり “解州” がありますが、これも歴史の教科書くらいでしかほぼ日常的に使うことはないでしょう。強いてやるなら“解毒”(げどく) のように「ゲ」を使えば事足ります。
“会衆” は「会に集まった聴衆」などの意味ですが、会の字が “会得”(エトク)、“一期一会”(イチゴイチエ) の「エ」の呉音を持ちます。「エシュウ」とすることで回避できるでしょう。
会の旧字は會で、「エ」の代わりにワ行の「ヱ」の表記が用いられることもあります。ローマ字 weでヱが入力できるならこれを変換素材とすることも将来的には考えられます。