“不足” と “不測” は 本来 動詞の意味を持つ後ろの文字を否定する動詞 (足りず/測らず) ですが、ともに形容動詞としても用いられます。
“付則” と “附則” はほぼ同義です。附
の字はほとんどの場合より簡単で意味の広い付
の字が用いられます。 “附則” という書き方は 特に法律に関する専門用語として 本則 と 附則 とが対比で用いられます。この2つは同じ文章に混ぜて書くことはありませんし、書き違えても意味は通るので 強いて分ける必要はないでしょう。
“付則” と “不測” の関係は 後ろの 則
は測
の形声字の表声部ですから、ここの音を変えて区別するのは 読みを覚えにくく分かりにくいものがあります。中国普通話の音だと測
(测
)はce4、則
(则
) はze2 で違っているのでそれも1つの手ですが、あまり筋はよく無いかもしれません。
測
(测
)の発音が「ツォ」「ゼオ」(ce4)のような音であるので、則
の方も同じそれに あわせることも考えられます。この場合おなじ部を持つ形声字の側
も対象になるでしょう。日本語として使いやすいところで言うと、「セオ」「ゼオ」あたりが考えられます。また元の「ソク」にちなんで「セク」「ゼク」「テク」あたりも使えるかもしれません。
“不足” と “不測” では 不
の字が共通しているので 足
と測
で音を変えた方が良いことになります。足
を「あし」と読めば一番簡単ですが、「たりない」という意味から少し遠ざかるのが難点です。
その点測
の方に中国読みを取り入れるのは意味は壊れにくいでしょう。“不測”と書いて、「フセク」とか「フゼク」と読むならそこまで遠くはありません。
もう1つ特殊な点をあげるとすると、“不足” は “水不足” とか “人手不足” のように 足りてない何かと結合して特定の状況を表す名詞になり、これら複合語から “不足” だけ独立して「ブソク」の読みがある程度認知があるところにあります。漢字変換でも「ぶそく」だけでも出るものが いくつかあります。今すぐ “不足” を別の語と区別して入力したいだけならこれで解消できます。特にローマ字入力なら husoku も busoku もタイプ数は同じです。
不
は 通常「フ」の読みですが、“不粋”(ブスイ) “不精”(ブショウ) “不躾”(ブシツケ) “不器用”(ブキヨウ) のように、否定的な表現では語頭に立って濁音になります。これは慣用音ですが一定の意味を持ちます。ただし“不便”(フベン) “不思議”(フシギ) など元々濁音の語に付くときはそうならないという特徴があります。
不
はカナのフ
やふ
の原字でもあるので 他に読みを与えると混乱の元ですが濁音の「ブ」ならあまり問題は無いでしょう。
“不測“ と “付則” で形声字の読みをそろえるポリシーにしたがうと、不
と付
で読み分けが必要になります。
この字は “不可”vs“付加” や “付随”vs“不随” など ちょくちょく衝突しているため、読み分けがあると便利な文字です。とは言え付
には「フ」の読みしかありません。こういう一拍の漢字では促音または長音でマークするのが簡単です。つまり「フッソク」「フーソク」などです。
ただ「フーソク」では “風速” と まぎらわしいので、この場合は「ソク」も「セク」「ゼク」への変更を同時に行います。「フッソク」には同音語はないので そのまま使うことができます。
また入力システムが許すなら、「フㇷソク」の記法もあるかもしれません。これはローマ字であれば fufsoku あるいは huhsoku と入力する意味で、f の口形をとる促音として発音されることになります。