付加・孵化・負荷・不可 は すべて違う漢字が使用されています。
加
の字は ひらがなの か
とカタカナの カ
の元になった文字です。同様に 不
の字もふ
とフ
の元字です。え
の元になった衣
などは すでに壊れてイが主流になってますが、カナの歴史を破壊すると言う観点から考えれば これらの漢字を読み替えることは好ましくありません。
“付加” と “孵化” は「フカする」のように使う動作性名詞です。このうち“孵化” に関しては 虫か鳥か爬虫類か魚などを扱う事業者でなければあまり使わないかもしれませんが、時々ものの例えとして使用されることがあります。
“付加” は “付加価値” など特定の単語と結びつきやすい傾向がありますが、加
の「カ」が動かせないので付
の「フ」を動かす必要があります。
しかし付
の字は呉音漢音ともに「フ」の読みしかないため、対応としては中国寄りの「フー」か、特に意味を持たない促音(ッ)か撥音(ン)を用いるかになります。
伸ばす方を撮る場合 長音記号ー
は日本語の記述には使用しないので「フウカ」が適当と考えられますが、“風化” になってしまうのでこれを回避するなら「フゥカ」として拗音で避ける対応になります。しかし読み方には少し困るかもしれません。
その点「フッカ」であれば フッ化水素くらいしか重なるところがなく有効です。
HFなど別の書き方ができるので問題ないと考えられますが、フッ素の「フッ」は弗
からきていて、これはもとの読みが「フツ」であるところに基づいているため変更すると関連が崩れます。したがって元の音が「フ」の時に促音化する場合は、例外的にローマ字式に習った書き方で小さいㇷ
を用いて「フㇷカ」とするような工夫も考えられます。単純にするため「フフカ」でも良いかもしれません。
化
は “変化”(ヘンゲ)のように呉音で「ゲ」と読みます。“孵化” は「フゲ」とすることでひとまず回避できます。
ただ孵
の字はその右の旁に孚
が用いられていて、音を共有する会意形声字です。この字は赤ん坊などが大きな人の手につかまれて持ち上げられている様を表していますが、浮
などと共通しており、“不要”vs“浮揚”vs“扶養” などでも衝突することから、そのイメージから「プ」や「プク」などに逃しています。なのでここでも「フ」よりかは「プ」にずらした方が後々覚えやすくなると考えられます。
“負荷” は単純名詞ですが、「負荷だ」のように形容動詞のようにも使用されます。“不可” は主に形容動詞として使われます。
これには負
と荷
の両方を訓読みして「おいに」(負い荷) とすると自然に回避できます。
送り仮名のないところが気になる場合 やはり音読みで解する方法も求められます。ここで負
の字は“勝負”の「ブ」(bu)の音もあり、ブカとすれば“不可”とは区別できますが、“部下” と紛らわしいです。
したがってこのケースでは単に「ブ」ではなく「ブウ」にしておくことが考えられます。なんとなく、クイズなどでハズレのときの「ブー」というブザー音をイメージすることができるので比較的わかりやすさはあります。
豊富vs抱負、夫妻vs負債、政府vs正負 など他のところでも多く同音衝突があるため、この「フ」はどうにかしておくと有用です。
残る “不可” ですが、他の熟語が変更されることで、これの変更は必須ではなくなります。
不
が動かせないため、基本的に可
をどうにかすることになりますが、可
と荷
は間に何
を経由して、同じパーツが使用されています。この音をもし変更するなら同時に変える必要がありそうです。ここでは置いておきます。
可
には訓読で 「〇〇するべき」の「べき」あるいは「べし」の読みがあります。ですので「ふべき」「ふべし」と読んでも良いかもしれません。漢文ではレ点が入いって「べからず」と読みますが、語順が逆転してわかりにくいのでそこまではしないほうが良いでしょう。