“養成” と “要請” は それぞれ「ヨウセイする」と 言うことができる 動作性名詞で、この組み合わせの中では分野を問わず使用されます。「技術者をヨウセイする」などと言うと判定は 不確かです。
“妖精”・“幼生” は 生命体のような何かを指す普通名詞ですが、特定の分野に限られ 単語出現率は低めです。ただし “妖精” は、一部で「幽霊○○」に代わり、存在感がなく居るのか居ないのかわからない人物のメタファーとして使われることがあるようです。「ヨウセイが イる」と言うと、「要請が要る」に 次いで「妖精が居る」「幼生が居る」が ありえますが、人によって “妖精” が出現しやすいかもしれません。
“陽性” は 名詞ですが、「陽性反応が出た」とか「結果は陽性でした」のように別の何かを形容する傾向がありますが、略語として「陽性が出た」のように主語になります。「検査の陽性が出た」と「検査の要請が出た」とのように、組み合わせによっては判定が怪しい言い回しがあります。文法的には「検査の妖精が出た」も ありえます。
ここで挙げた組み合わせの「ヨウ」の陽
妖
要
養
幼
、「セイ」の性
精
請
成
生
には、文字の重複がありません。読み方の変更が 必須となる字がないということです。
「セイ」の性
と生
、精
と請
は、形声文字として、音を示す音符が共通しています。請
を除き、もう1つ「ショウ」の読みを持ちます。
成
の字には “成仏”(ジョウブツ) の「ジョウ」の 読みがあり、この音読みは城
・盛
とリンクしています。
妖
の字は夭
を含み、これも「ヨウ」と読みます。常用漢字から外れているのでリストに含めていませんが、若死にを意味する “夭逝”(ヨウセイ) という語もあり、“妖精” と かぶります。
夭
を使う字には他に “肥沃”(ヒヨク) の沃
もあり、こちらは「ヨク」です。しかし「ヨクセイ」では “抑制” に重なるので この読みを借りてくることはできません。「ヨウ」は旧仮名遣いの「エウ」が用いられますが、この「エ」だけ拾って「エク」とする ずらし方が考えられます。
養
は羊
を部として持ち、「ヨウ」の音はここから来ています。養
と要
は “扶養”vs“不要”vs“不用” のところでも衝突しており、用
との回避も必要です。用
は「用がある」のように単独で使うため、変更しづらい文字です。ゆえに、養
と要
を別の音にしておくほうが有効な可能性が高いです。
中国語読みを頼ると羊
と養
は ともに「ヤン」(yang) の読みがあり、この音だと重複しません。
要
は「ヤオ」(yao) と読まれ、日本語の文字としても扱いやすいところにあります。中間を取れば「ヤウ」「エオ」などの表記も考えられます。
幼
は「ヨウ」以外の読みがなく、中国語音でもおなじくyou4です。この組み合わせの中で言うと、無理に変更する必要はあまりありません。しかし “幼児”vs“用事” などの組み合わせもあります。表記のレベルで言うと「ヨオ」か、「ヨン」などが候補にあげられます。
“幼生” は、成熟する前の個体で、何の幼生であるかを具体的にすることでこの単語の利用は避けられます。虫なら “幼虫”、魚なら“幼魚” “稚魚” などに言い換えられます。また “幼体” という言い方もあります。
陽
は日本語だと「ヨウ」しか使えませんが、中国語普通話から取ると「ヤン」(yang2) があります。この旁の昜
(ヨウ)は、それ自体では常用漢字外で使いみちがなく、音が忘れられています。他の場
(ジョウ) や腸
(チョウ)、湯
(トウ)、傷
(ショウ) など、偏に何が来るかで音に揺らぎがあります。いづれかに合わせても良い可能性があります。または「テョウ」(tyyou)など使われてないところで、近い子音に「ョウ」の部分だけ活かす手もあるかもしれません。
“陽性” は化学の用語で、英語で positive(ポジティヴ) にあたるものです。反対語は “陰性” で これは negative(ネガティヴ) となります。positive/negative は 数学では 正/負 と訳されます。それぞれ+(プラス) / ー(マイナス) の意味もあり、これがそのまま 陽性/陰性 を示す 記号として使われることもあります。
この点を 踏まえると「陽性が出た」と言う代わりに「ポジ」「ネガ」、「正の」「負の」と言った別の表現で言い換えられるかもしれません。特に化学者以外で用語に馴染みがない相手に対しては “陽性” は文字の上では 好ましいことのように見えるため、病気などの説明に対しては紛らわしさがあります。「悪いものが見つかった」など別の表現もありえるでしょう。