しこう (する)

  • 思考
  • 指向
  • 志向
  • 施行
  • 試行
  • 嗜好

処方せん

思考
シコウ
指向
サカウ/シェカウ/ジェカウ/サシカウ
志向
シカウ
施行
セギョウ
試行
シキギョウ/シッキョウ
嗜好
シカオ/シハウ/シクヮウ

解説

ここで取り上げる ものは「〜スル」が 付いて動詞となる、いわゆる動作性名詞で、いずれも先頭の「シ」1字と、「コウ」の音の2字の組み合わせです。

「シ」の字は全て違いますが、「コウ」はの2つは重なっています。

の字には読みに「コウ」のほか「ギョウ」が あり、こちらを使えば2つ減らすことができます。ですが ここで単に「シギョウ」としただけでは、「始業」や「士業」と重なってしまいます。

「施行」のには「セ」の読みがあり、「セギョウ」とすれは、 一般には「施業」とだけの衝突になります。

セギョウだと シコウより 衝突は少なく、また施業と施行とでは 使う場面や意味の差はあまりなく、害は限定されます。

「試行」のについては、つくりを持つ文字で、これは「シキ」と読みます。

仮にの字の読みをシキとして、シキとコウを連続させると発音しづらいために促音化が起こりシッコウとなる可能性が高いですが、「シキギョウ」なら あまり無理はありません。(「私企業」とは衝突しますが、「私企業する」とは言わないため問題にはなりません。)

「シコウする」が「シキギョウする」となると 字数が増えて打ちづらくなりますが、そもそも「試みるこころみる」や「試しためしてみる」というもっとシンプルな言い方があるため、積極的に使う必要もありません。変換候補の下位に追いやることができれば十分です。

の字は 訓読みでは「たしなむ」となりますが、この字が他の用途で使われること 滅多にないため、変更しても影響はほぼありませんが、効果が薄いと言うことでもあります。

部首は通常の方ですが音としては(シ/ジ)が混じっているところから来ているとみられ、この音を変えることが間接的な影響を及ぼす可能性はあります。

対しての字については多くの熟語に含まれており、変更の影響は大きいです。

この字について 日本語での 音は コウあるいは旧仮名遣いでカウの2つありますが、中国語の挨拶「你好(ニイハオ)」「大家好(ダージャハオ)」でも よく知られ、古すぎるカウよりか 現役のハオの方が 使用価値が高い可能性があります。

中国に 順じて「ハオ」とするか、日本的な「コウ」の どちらかか、またはその中間的な「クハオ」「カオ」など表記が考えられす。

残るはです。この どちらかを コウから外すことになります。

「思考」のの字にはの部があり、これが「コウ」(古くはカウ)の音を与える形声文字です。

の部を持つ字にはなどが ありますが、それぞれあまり同音語は多くありません。を含む熟語で「号砲」と「合法」などは同音ですが、音がゴウで違っているため連動させる根拠はあまり強くありません。

の字は呉音ではコウですが、漢音ではキョウ、さらにピンインではchaやxiangとなりますが、日本語の熟語では「一向イッコウ」「方向ホウコウ」「意向イコウ」「回向エコウ」など、ほとんど「コウ」以外で使われることはありません。

しかし日本語では「向かう」と書いて「むかう」と読むため、「カウ」音に わずかに似た語感があります。

で どちらかを カウと書き換えるならの方が適性が高いように見えます。は人名の一部としても用いられることも多く、変更に伴い不自由を生じる人も出てきやすいという点もあります。

最後に「指向」と「志向」のシの部分です。この2つの語の意味に大きな差はないですが、が付く方が「こころざし」とも呼ばれ、人間の意志を持つことを表しています。

「指向」は例えばマイクで真っすぐに しか 音が伝わらない、拾えないものを単一指向性と呼んだり、科学・技術分野で使われやすい語です。

意識的にこの2つを分けるのに手っ取り早いのは 意図的な湯桶読み(「私立」を「市立」と区別するために「わたくしりつ」と読むなど)をして「サシコウ」と読んでしまうことです。「カウ」につなげるなら「サシカウ」です。

この語感を音読みの方にも適用(音訓合流)するなら サカウ・サッカウ などが考えられると言うことです。これは いずれも 変換が衝突することはなく、入力も容易です。

もう1つ候補としてはシをシェとすることで、これは現在の日本語では完全な空き地です。これはローマ字入力では sheの3打で済む点は便利ですが、スマホでフリック入力だと「サ←・ア→・小字化」となりシと比較するとやや打ちづらさがあります。

なおこの「しこう」音には 他に 重複しうる単語が あります。これらは言い換えが比較的容易で、用途が重なることが ほとんどないので ここでは ひとまず振り分けは行いません。

  • 歯垢 (単純名詞) → はあか、歯グソ(ハクソ)、プラーク
  • 私考 (単純名詞) → 私の考え、個人的見解
  • 紫光 (単純名詞) → 紫の光、ヴァイオレット・レイ
  • 至高 (形容動詞の語幹) → 至高なる、至高的な、至高を極める

使用されている文字

  • [2]
    コウ(呉音)/カウ(旧仮名遣い)/シアン(xiang:普通話拼音)
    むかう・むく(訓読)
  • [1]
    シ(漢音)/シㇶ↘︎(shi4:普通話拼音)/
    たしなㇺ(訓読)
  • [1]
    コウ(呉音・漢音)/カウ(旧仮名遣)/ハオ⤻(hao3:普通話拼音)/
    すく・このむ・よい(訓読)
  • [1]
    シ(呉音・漢音)/ツㇶイ↘︎(zhi4:普通話拼音)/
    (訓読)こころざし
  • [1]
    シ(呉音漢音)/シー(si1:普通話拼音)
    おもう
  • [1]
    シ(呉音・漢音)/チー⤻(zhi3普通話拼音)/
    さす・ゆび(訓読)
  • [1]
    セ(呉音)/シ(漢音)/シー(shi1:普通話拼音)/
    (訓読)ほどこし
  • [1]
    コウ(呉音・漢音)/カウ(旧仮名遣)/カオ⤻(kao3:普通話拼音)/
    かんがえ(訓読)
  • [2]
    ギョウ・ゴウ(呉音)/コウ(漢音)/カウ・ギャウ(旧仮名遣い)/アン(唐音)
    いく・ゆく(訓読)
  • [1]
    シ(呉音・漢音)/スㇶ↘︎(shi4: 拼音)
    ためす・こころみる(訓読)

この衝突語リストは、日本語に おいて同音異義語、あるいは文中に 単語をまたいで登場し、 聞き違いや カナからの変換時に誤変換を よく起こすものを ピックアップしたものです。

ここで示されている「処方せん」は、あまり一般的では ないものを 多く含みますが、 変換辞書に登録し 学習により上位にでるように することで 入力時の誤変換を減らす効果を期待できます。

一部特殊な拗音や別の文字種、変体かななど特殊な表記を使用する場合があり、 昭和から続く日本語のカナ<現代仮名遣い>の構成で 表記が認められていないものについては 現行の漢字変換ソフトそのままでは対応不能なものもあります。

将来的には 制度改定や 続いてシステムがアップデートされていくことが望ましいですが、キーマッピングの変更などでもある程度の調整が可能です。

その他の衝突語