すべて同じ活用を用います。
みない/みます/みる/みる時/みれば/みろ(みよ)
基本的に「見る」が主になる言葉であり、それ以外のみる
は いずれもそれらしい当て字のような性格があります。
観
も覧
も視
も、すべて「見」の字が含まれていることからも分かる通り、派生語です。
派生語には派生語としての取るべき位置があり、見る
のポジションを奪うことは許されません。出しゃばらずにみる
の読みを返上すべきでしょう。
「診る」と「看る」は行為がより具体的で、目で見る行為からはズレています。
特に会話でこの漢字の意味で「みる」と言うと意味があいまいでうまく理解されないかもしれません。“診断する” “診察する”、“看護する” “看病する” などの語に言い換えたほうが良いでしょう。
一般にこのような漢字1字に「る」が付いた動詞は、その字を末尾に持つ熟語からの連想で「する」や「ずる」を付けて対応するのが簡単です。
たとえば覧
は “一覧する” や “観覧する” などの語を持つので そのまま同じアクセントで “覧する” と言えば この漢字を知っている人なら意図はわかります。「ラン」には漢字では乱
、英単語では run などが考えられますが、同じ文脈で用いることはほとんど無く、数も少ないのでアクセントで言い分けることは可能でしょう。
ただ、観
と看
は音読みが「カン」で、これにスルをつけると すでに良く使われている “関する” ”冠する” と衝突を起こすため かえって誤解を生じます。
「私はテレビを関します」という文脈は成り立ちませんが、主語を省いた「テレビを冠します」では成立しますから、単独で誤解を起こさない「カンずる」のほうが適当な置き換えでしょう。( “冠する” などは むしろ「冠る」と言い換えても良さそうですが)
もし「〜スル」型にするのなら、「カン」ではなく「クァン」「ケャン」など別の字を当てて衝突回避しなくてはいけません。
観
の字は特に 古くは合拗音であり、「クヮン」の読みが正統です。また中国語の普通話拼音でも guan1 で同じような読み方になっています。聞き取りは少々難しくなりますが、文字入力に際してはローマ字入力などでは kwan qan など特別な入力を組み合わせれば解決できますし1つの選択肢になりえます。
一方 看
は中国を引き合いに出しても kan4 (カン↘︎)でしかないので この手は使えません。代わりに 英単語の care(ケア)からの関連で「ケァン」「ケャン」、もっと露骨には「キャン」と読んでしまうことも考えられます。
「みる」は 極めて広い範囲をカバーする基礎的な語であり、そのためいくつか代用が きくであろう英単語は色々と考えられます。そのためこれらを読みがなと してしまうことも1つの解になりえます。
- 看る(ケアる : careる)
- 視る(ウォチる : watchる)
- 覧る(ルクる : lookる)
- 診る(ヂアノる/デアノる : diagnoseる)
- 観る(ビューる/ビユる : viewる)
「ビユる」などというのは 少々ふざけたように見えますが、日本語に同音語が無く使い勝手は悪くありません。
使う語も中学生レベルの英語ですので、そう書いてあったとしても日本人の半数以上が理解できるはずです。
“パブリックビューイング” などの単語も一般に使われますし、他でもバードウォッチングもケアマネージャーも漢字が無いだけで カタカナ語として自然な日本語です。
ただし ビをヴィと書くべきかという議論がありますし、どの漢字がwatchに適正かというところも意見の割れるところでしょうから、あくまで候補に挙げるにとどめます。
「ウォチる」と「ケアる」などは珍しい単語でありませんから、おそらく日本のどこかで既に使われているはずです。