“競技” “協議” は「キョウギする」となる動作性名詞です。競技するのと協議するのでは意味が真逆なので、さすがに変換ミスしても理解はされるでしょうけれども、間違いが目立つという意味でもあり、対処しておくべきです。
この場面では競
は “競馬”(ケイバ) などで使う漢音で「ケイ」の音があり、これを使って「ケイギする」というのが一番簡単でしょう。
“教義” “狭義” は どちらも名詞ですが、“狭義” は「キョウギの」の形で連体詞的に用いられる傾向があります。
文字を見ると 義
が後ろにある組み合わせが2つあり、それに訁
(ごんべん) を足した議
の字も入れると3つが義
を共通に持つことになります。形声字の読みが同じものを どちらか違う読み方にしてしまうと 覚えにくくなるので あまり良いやり方ではありません。よって協
と教
と狭
を それぞれ違う読みをすべきだということになります。
狭
は もとのかたちは狹
で、犭
(獣ヘン)を取ると夾
の字で、複数の人に挟まれた大きな人が犬(野蛮で争いの絶えないことを示す)を従える様子を表した会意形声字と言えます。狭
と似た挟
や、ほかに侠
とも同じ音をもっています。これの音を変更する場合は 他の形声字への影響を考える必要があり、できれば避けたい字となります。
協
は劦
を持っていますが、意味は同じ「力を合わせる」もので、読みも同じ「キョウ」です。これを持つ字には常用字では他に 脇
と脅
の字が ありますが、脇
を音読みすることは ほぼ無く、脅
のみ “脅威”(キョウイ) “脅迫”(キョウハク) など用いられます。このとき「キョウイ」は“驚異” “胸囲” “教委”、「キョウハク」は “強迫” と重なっていますが、熟語の数から考えて、同時に音を変更した場合の影響が小さいと考えられます。
教
の字も会意形声字とされますが、これは旧字の敎
の子
の上の部分が爻
であり、子供を座らせて棒を振って指導するような意味とされます。この爻
は校
の字のつくりの交
にも由来があり、いずれも「コウ」「キョウ」あたりの音を持ちます。しかし爻
の字の音を継いでいるといわれても、この字は常用漢字でない上に 単独で用いられもしないため読みを知る人は多くなく、違う音でも特に影響は出ないでしょう。
むしろ“親孝行”(おやコウコウ)などで使われる孝
の字との音の違いの方こそ難解です。この字の上は老
のことで、意味が違います。よって「コウ」に近づけるべきとも言えません。
教
の字には中国普通話では「ジャオ」(jiao)の読みがあり、これに近づけることも考えられます。
この中では協
と教
に何を割り当てるのが良いかという選択になりますが、「キョウ」の音から近いところでは「キャオ」「キョン」「キオ」「ケオ」などが考えられます。