交
の字は “交代” と “交替” の両方で使用されていますので、この字の音を変更してもここでは十分ではありません。またこの字は “学校”の校
や “効果”(コウカ)の効
、“狡猾”(コウカツ)の狡
、“絞殺”の絞
、ほか咬
佼
などの一部であり、この音の変更は影響が大きいものになります。
交流・交付・交渉・交差・交換・交互・交通・外交・社交 や、他にも熟語の多い文字でもあるので下手な変更は別のところで衝突を起こす可能性があります。
強いて言えば訓読みで「行き交う(いきかう)」の「かう」の読みがありますから、音読みにもこれを適用するのであれば比較的負担は小さいかもしれません。
代
の字は「タイ」と「ダイ」の2つの読みがありますが、「タイ」としか読みのない“貸与” の貸
の字の一部でもあります。
しかしながら“代理”、“代行”、“時代”、“世代”、“代金” などなど、ほとんどの熟語では「ダイ」と読むことから、“交代”に ついても それらに合わせて素直に「コウダイ」としてしまった方が簡単です。
「コウダイ」だと“広大” や “後代” や “高台” などと衝突しますが、幸い「コウダイする」と動詞化して使用するものはありませんから、「交代する」という文脈では問題はありません。
ちなみに 交代 と 交替 では、そもそもほとんど意味の違いがありません。代
と替
の違いにしても、ともに 「かえる」「かわる」で どちらにでも使えますから、難しい替
の字はいっそ常用から外して しまっても良いかもしれません。
“抗体” の 抗
の字は「あらがう」などとも読みますが、通常は「コウ」としか読まれません。
この字は “対抗”vs“退行”(タイコウ)、“抗議”vs“講義”(コウギ)、 “反抗”vs“犯行”(ハンコウ)など別の熟語でも衝突を起こしており、変更には効果があります。
訓読みでは「たかぶる」と読む亢
の字を音の由来とする会意形声文字で、“航空”の航
や杭
(クイ)の字を持ちます。いずれも音読みは「コウ」です。
強いて音を変更するなら、旧仮名遣いの「カウ」に寄せて合わせるか、またはこれは訓読みですが 杭
を真似て「クイ」にしてしまうなどが考えられます。
杭
は木杭(ボックイ/キグイ)、鉄杭(テックイ)など、訓読みが音読みのようにして使われる特殊な文字です。
光
の字は異体字で灮
という字もありますが、これは光の源である「火」を人が掲げる姿を表しています。明るく良い意味を持つその性質上 、人名や地名、文化財などにもよく使われています。
この字も “発光”vs“発行”、“光源”vs“抗原” “光速”vs“高速” など別の衝突があり、変更には有効性があります。
光
の字が「火」を持っているというのはその解決の糸口で、この字は古くは合拗音「クヮ」であるとされます。光
についても同様に、「クヮウ」であるとの解釈もあります。
しかしながらこの小文字のヮ
の字は入力困難な文字で、ソフトウェア側の対応が問題になります。よって これを さらに分解しkwau
とし、近いカナを考えると「クォウ」あるいはさらに簡単に「クオ」とすることが考えられます。
“光体” を 「クオタイ」とすればその段階ですでに同音語はありません。
“発光”「ハックオ」、“光源”「クオゲン」、“光速”「クオソク」も衝突はなくなります。
難点を挙げると、「タイ」が「見たい」「聞きたい」などの願望の表現との紛らわしさがあるところで、その意味では体
のもう1つの読みである「テイ」を好んで使うという手法が考えられます。
体
に「テイ」を使うと先に述べた“抗体”の抗
をクイとした場合にも、「クイタイ」が「食いたい」と紛らわしくなる問題の回避ができます。
最後に “後退” が残りますが、これは後
の字に一般的に「ゴ」と「コウ」の2つがあることから、簡単には “後退する”=「ごたいする」とすれば回避できます。
読み「コウ」は拗音・合拗音・旧仮名遣いの混乱もあり、工
公
交
高
攻
好
黄
孔
幸
行
功
甲
香
など とても多くの文字がありますが、それに対して「ゴ」は五
語
碁
誤
期
などの比較的少数の文字しかありません。
ただし読み「ゴ」は、語頭にくると「ご依頼する」「ご案内する」「ごめんする」のように謙譲語のように聞こえたり、「誤爆する」「誤報する」「誤解する」「誤読する」のように後ろの言葉を否定する単語に聞こえるという特徴があります。
逆に語末では「メール後」「到着後」「送信後」「広東語」「ベトナム語」「ネコ語」のように語
の字と似たような位置に現れる接尾語となるので こちらも漢字変換で扱いにくい読みでもあります。
その意味では ゴ と コウ の 間をとって、ゴオ や ゴウ、ゴォ、コオなどの1表記に統一してしまうというのも考えられるかもしれません。
後
が「ゴウ」では語末で号
と良く衝突を起こしそうですが、「ゴオ」であれば既存の単語が少なくとも漢字変換で衝突することはありません。
聞き取りやすさを重視するなら少し遠い「ゴン」とすることも考えられます。