このリスト中で “計上” のみが「ケイジョウする」として動詞となる動作性名詞で、この用途では衝突は起きません。
“経常” と “計上” は どちらも会計など使用される分野が近いため、よく経常は「ケイツネ」と読み替えがされます。しかし一般向けのニュース等ではそのまま「ケイジョウ」と読まれるのが常です。
これに対しては上
の字を“上海”(シャンハイ)などで知られる慣用音の「シャン」または「ジャン」の読みを適用することができます。
基本的に “計上” と “経常” が区別できれば 文脈的に衝突は起きませんが、業種によっては ‘形状’ または ‘刑場’ と重なることもあるでしょう。
計
の字は十
を旁に持ち、中国普通話(计)では「ジー」(jì / ji4)と読みます。日本語の「ケイ」の読みは広東語や朝鮮語の発音に近いです。汁
十
は「ジュウ」と読むのに計
だけ「ケイ」と読む特殊な会意文字です。十
の字は 数を数えるときに用いる木片や縄の結び目を表わし、言
はそれを読み記したことによるとされます。
計
は “早計” ”計測” など熟語を持ちますが、どちらも「ジュウ」としては “操縦” “充足” などと衝突してしまうので「ケイ」の方が安定しています。十
には「ジッ」「ジュッ」の読みもありますがどれを使っても上手くいきません。
形
の字と刑
の字は似ていますが、その偏の幵
は ともに木の枠を表わします。形
は“人形”(ニンギョウ)や“形相”(ギョウソウ)のように「ギョウ」の呉音読みを持つ語が複数ありますが、刑
は刑部など一部の地名にあるくらいで「ケイ」とだけ読むのが一般的です。
しかし「ギョウ」の読みは 行
や業
とも紛らわしいのであまり使いやすくありません。たとえば “異形“を「イギョウ」と読むと“偉業” と重なり、「イケイ」では“畏敬” と重なります。動かすならもっと大きく動かす必要がありますが他をどうにかした方が有効です。また 形
の字は「かた」の訓読が使えます。
状
(旧字:狀
)は音読では「ジョウ」としか読みません。訓読で「かきつけ」の読みを持ちますが、字数が長い上にマニアックすぎますし、“形状” を「かたかきつけ」ではやや意味にズレがあります。旧仮名遣いで「ゼウ」「ゼフ」などの書き方が可能です。また中国語拼音だとzhuàngとなり「ジゥアン」のような音になります。これはカナでは書きづらいので「ジァン」「ズァン」「ツァン」あたりが書き換えたとしては手頃です。また単純に ‘ン’ の 部分のみ取って「ジョン」とするのも比較的簡単です。
“形状” という単語に対しては 英語で shape(シェイプ)やform(フォルム)に言い換えをすると聞き違いが起こることはありません。シェイプの意味を英和辞典で ひけば “形状” とあるので 英語訓として単語登録してしまうことは可能です。
場
の字は日本語の訓読みで「ば」、音読みでは「ジョウ」と読みますが他の読みか使われることはありません。同じ部を持つ語としては手偏の揚
(ヨウ)、や傷
(ショウ)が ありますが いずれも微妙に違っているのでルールを借りられません。
この字の「ジョウ」の読みは “上場”vs“情状”、“戦場”vs“洗浄”、“入場”vs“入城”、“市場”vs“試乗” など多くの同音語があるため別音が あることは都合が良いです。
中国普通話では「チァン」(chang3)の読みがあり、この音には日本語で重複がなく有用です。ただし語末に置くと「ケイちゃん」のように人物の呼称にも聞こえるため、語末に付きやすい場
の字には少々相性が悪いです。
他、旧仮名遣いを用いて「ゼウ」「デウ」の記法があります。ここで ‘ウ’ は見せかけの母音ですので代わりに「ゼオ」「デオ」を使うことも考えられます。
刑
については 普通は “仕置き” と書くため あまり使いませんが「しおき」の訓読みもあります。そのため「しおきば」と訓読することも考えられます。