“買う”・“飼う”・“交う” は いずれも「かう」と読む 日本語の動詞です。いずれも物の所属する場所を 改めるという意味合いがあります。
さらに「〜た」が付くと「かった」となり (ウ音便を用いない場合)、“勝った” “狩った” “刈った” とも重なり、倍の曖昧さになります。
“交う” は すでに日本語としては喪失しかけていて “行き交う”・“飛び交う” のように、何らかの進行性をつ動詞の後について、助動詞のように機能します。古語的な読み方の「ゆきこう」が使用されることもあります。このような助動詞のように振舞う動詞の多くはカナだけで記述されることもよくあります。
この “交う” は1つのヒントを示していて、それは単純な動詞は別の単語と結合して新しい語を作るということです。「餌を付ける」なら「餌付ける」、「着て替える」なら「着替える」のように原型を残している語もあれば、「絵を書く」から「描く(えがく)」、「思い計る」かる「慮る(おもんぱかる)」のように、結合して漢字1字となってしまったものもあります。
このことを応用すると、“飼う” についての解が見えます。”飼う” の対象はペットや生きた動物です。
生物なら生娘や生酒のように生
を意味する「き」を付けて “生飼う”(きがう) とできます。しかし生綱が“絆”を意味するように そのまま漢字を当てて“飼う” とすることもできます。“生き” の「い」のほうをとって「いがう」でも良いかもしれません。
同じ理屈で言うと“買う” の方は “価値” を交換する “価買う”(かかう)などが考えられます。しかしこちらの語には英語で buy があり、同時に買
に「バイ」の音があることから、「バイする」の言い方が 覚えやすく有効と考えられます。堅い表現が求められるときには“購入” “購買” など代用があるので さほど不自由は生じません。