「漢字」と「幹事」はアクセントの位置が違うため会話では間違えることはありませんが、文章ではそうもいきません。
「カンジの名前が知りたい」「カンジが違う」のような文章では変換ミスが起こりがちです。
頭の感
・漢
・幹
の3つの文字は、すべて純粋な「カン」と読み、旧字を追っても合拗音の「クヮン」には ならない組み合わせです。
このうち漢
の字は古くから中国語では「ハン」と読まれ、現代の拼音でも第4声のhanが当てられています。
“漢字” という語句に関しては世界的にも Kanjiとしてよく知られており、これの読み替えは困難を伴いますが、強いて動かすならば 漢
を「ハン」として「ハンジ」か、後ろの字
を「ツー」「チー」「ツィー」のあたりに寄せるかのどちらかが考えられます。
言い換えをするなら「漢字」ではなく「漢文字」、あるいは「字」は英語でcharacter(キャラクター)なので「漢キャ」などと呼んでも良いかもしれません。
“幹事”の事
の字の音読みは一般には「ジ」ですが、 “好事家” (こうずか)などという語があるように、まれに「ズ」と読むものがあり、これは唐音とされます。
よって “幹事”は「カンズ」としてしまうのが簡単な変更かと思われます。
字
と事
では ほかに “用事” と “用字” や、 “事典” と “字典”、“事態” と “字体” のような紛らわしい同音語もあり、事
を「ズ」とすると このあたりも回避可能になります。
“感じ” に ついては 熟語ではないですが「良い感じ」「感じがする」などカジュアルに使用される連用形名詞です。
もともとは「感じる(かんじる)」の動詞の一部ですが、これを さらに古くまで辿ると「感ズ」という文語にあたります。また上二段活用に似て「感ずる」という言い方をすることもあります。
「感ず」であれば同様に古い言い回しの「仰す(おほす)」からくる「仰せ(おほせ)」のように、サ変の否定の「感ぜず」から未然形「感ぜ」として名詞化することも可能です。
「感ずる」であれば「感ずり」あるいは「感ずれ」を名詞として採ることはできそうですが、「ズレ」や「ズリ」は その2字 自体が名詞のようにも聞こえるためかえって誤解を起こす懸念があります。(「感覚がズレている」のような意味合い)
別の方法としては 可能動詞の「感じれる」の連用形からとって「感じれ」や、やや長いですが「感じられ」でも連用形名詞として扱うことは可能です。
「あの人は良い感じれの書き方をする」などは、少々クドいようですが意味は通ります。「れ」を省くと「良い漢字の書き方」と紛らわしくなるのを解消できます。
他に、感
の字は広東語では語末の /n/ は /m/の発音になるらしく、これにならって「カム」とする書き方も見られます。そこからとるなら「感じる(カムじる)」と書くこともできるかもしれません。
発音での区別は難しいですが、「ン」の音を「ム」で書くのは いろは歌の「我が世誰そ常ならむ(わかよたれそつねならむ)」のように古代からある記法でもあり、入力の逃がし方の1つには考えられます。