いぞん

  • 依存
  • 異存
“依存” は何かによりかかっていて自力で元に戻れない状態を言います。
“異存” は 違った考えがあることをいい「異存ございません」など成句で用いられます。

処方せん

依存
エゾン/エソン/よりソン
異存
イゾン/イソン/ユィゾン

解説

“依存” という単語は濁点付きの「イゾン」と濁点無しの「イソン」の両方の読み方があります。

の字は 存在(ソンザイ)の「ソン」ですが 保存(ホゾン)や既存(キゾン)など語末に来ると「ゾン」と読むことが多くなります。の呉音は「ゾン」、漢音は「ソン」と読みます。

「ゾン」の特異な用法として “存じます” と書いて「ぞんじます」と読み、「思います」の謙譲語とすることができます。“異存” のはこの意味で、相手と違う意見があるという意味です。

漢字には同じ文字を意味によって読み替えるものがあり、“依存” と “異存” のにもこれが適用されそうに見えますが、この字はそういうものではなく、中国語の普通話拼音でも「ツォン↗︎」(cun2)しか ありません。

“所存です” や “異存ありません” は 思いがある、意見の相違はないという意味合いで どちらも謙譲語ではありますが、あまりに定型的であるため “存(ぞん)” が謙譲語という認識のない人もいます。「思っております」や「おっしゃる通りです」あたりで代用するほうが誤解なく伝わります。

したがってここでは 「ゾン」でも「ソン」でもどちらでも良いという事にはなりますが、この字の読み方で “依存”と“異存”を 区別するのは 年代によって理解が異なるため難しいものがあります。

漢字自体が違う で区別する方が見た目にも分かりやすいのでこちらのアプローチを取ります。

は通常「イ」としか読めず、古くはヤ行イ(yi)の音を持つといいます。yearとearの差のようなもので、無理やりカナで書くと「ユィ」とすることができますが、入力には良くても聞き取りは難しいです。

これに対して の方は、“帰依”(キエ)などの語で使われる呉音の「エ」の音があります。このを構成するつくりの字は、ひらがなのの字のもとになった字であり、日本語としてはその読み方の方が伝統的です。

したがって “依存” は「エゾン」または「エソン」とするのが順当であると言えます。

別解としてはの字は訓読みで「より」と読むことができます。これを用いて「よりそん」のようにすることもできます。字数が増えて文字入力では扱いにくくなりますが、耳で聴いた場合は この読み方の方が当面は理解されやすいでしょう。

使用されている文字

  • [1]
    イ(漢音)/エ(呉音)/ユィイ(yi1:拼音)
    よる(訓読)
  • [2]
    ゾン(呉音)/ソン(漢音)/クン↗︎(cun2:普通話拼音)/
    ある・たもつ(訓読)
  • [1]
    イ(呉音・漢音)/ユィ(yi4:拼音)
    ことなる(訓読)

この衝突語リストは、日本語に おいて同音異義語、あるいは文中に 単語をまたいで登場し、 聞き違いや カナからの変換時に誤変換を よく起こすものを ピックアップしたものです。

ここで示されている「処方せん」は、あまり一般的では ないものを 多く含みますが、 変換辞書に登録し 学習により上位にでるように することで 入力時の誤変換を減らす効果を期待できます。

一部特殊な拗音や別の文字種、変体かななど特殊な表記を使用する場合があり、 昭和から続く日本語のカナ<現代仮名遣い>の構成で 表記が認められていないものについては 現行の漢字変換ソフトそのままでは対応不能なものもあります。

将来的には 制度改定や 続いてシステムがアップデートされていくことが望ましいですが、キーマッピングの変更などでもある程度の調整が可能です。

その他の衝突語