まず “遺骸” に関しては 死んだ人の遺体の亡骸を指しますが、長期放置されて骨が剥き出しになったような状態を言うので近代的には 使用されることはあまりなく、ややオカルトやファンタジー用語の傾向があります。あまり 置き換える必要性は高くありません。
ただし遺
の字は “異物”vs“遺物”、“遺産”vs“胃酸” などの衝突があるので 別読みを用意する価値はあります。この字は“遺言”(ユイゴン) のように「ユイ」の呉音を持ちます。中国普通話拼音だとyí(yi2)でアクセントが 低-高 (↗︎)となりため1文字の「イ」より「ユイ」の方が妥当性があります。
そうすれば よく大臣が表明する「遺憾の意」も、「移管の異」とか「医官の胃」に ならずに済みます。
骸
の字は “市街“vs“死骸” は ありますが それくらいです。亥
を旁に持ちますが、いずれも使用頻度は高くありません。この字は「むくろ」の訓読みがあるので、「のこりしむくろ」と訓読する手も使えます。
“意外” と “以外” は、「イガイにも」、「イガイです」のような形になった時に衝突が起こりえます。
“以外” は「それ以外にも」のように、別の名詞の後ろに連結することが多いので、前が名詞なら優先してそう解釈することも考えられます。ですが「私 意外と」とか「あの人 意外にも」のように、口語的な表現で主語の後の助詞の「は」がよく省略されることから、分かち書きしたり句点を打って間を開けないと区別できないという特性があります。
この2つは外
の字が共通していることから意
と以
で区別しないと うまくいきません。外
の字に“外道”(ゲドウ)の「ゲ」や “外郎”(ウイロウ)の「ウイ」の読みもあるのでどちらかの単語にそれを当てることも考えられますが、1つの漢字に複数の読みを当てるのは 覚えにくいのであまり良くありません。
意
は日本語では「イ」の読みしかありません。中国普通話ではyì (yi4) で前にアクセント(↘︎)があります。以
はyĭ(yi3)(⤻)なので抑揚の付け方こそ違いますが カナにすると区別は つきません。
ここで意
の字は心
に音
を合わせた会意字です。音
の字は「オン」と読むことが多いですが、“母音” “子音” 「イン」と読むこともあり、また中国普通話だとyinとなります。このあたりから読みを借りて、“意外”を「インガイ」とすることが1つ考えられます。
また音
とは言
の別形ともされます。“言う” は「いう」ですが同時に「ゆう」とも良く発音されます。意
の拼音yi4とも総合すると、“意外” を「ユガイ」または後ろの音が弱くなる「ユンガイ」「インガイ」とするなどが候補として挙がってきます。
「インガイ」だと “院外”や“員外”と 衝突しますが、「ユガイ」「ユンガイ」は意外にも衝突なく使うことができます。