表
と票
に ついては単純名詞である他に“成績表”と“住民票”のように別の語の後ろに接尾語としてもよく使われます。意味が少し違うので使い分けがありますが、表と票の両方の機能を持つ書類もあるため、間違えられやすいものです。
この2つについては音の高低の付け方もよく似ていて、「ヒョ」と「ウ」が同じ高さで抑揚なく読まれます。
「ヒョウ」という仮名づかいは昭和式で、発音に合わせれば「ヒョー」「ヒョオ」のバリエーションがあり、旧仮名遣いでは「ヘウ」となります。古典的ヘボン式ローマ字ではhyo
となり「ウ」の音は捨てられます。
似た表記で考えられるものでは「ヒオ」「ヘオ」「ヒョン」あたりが考えられます。hio
、heo
であればローマ字入力でも効率的です。
表
に関しては“リスト”、“テーブル”、“図表(ズヒョウ)”、“一覧” など、比較的平易な言葉で言い換えが可能であるため、聞き違いを防ぐ目的でなら中途半端な置き換えをするよりかはそのやり方が適しています。
また“表現” “表示” “表明” “表記” “発表” “意表” など極めて多くの一般的な熟語を持つことから、変更すれば影響が大きく、あまり動かすべきではないという判断があります。
一方の票
は “帳票” “伝票” “投票”など熟語は多くなく、使われる位置もどちらかというと語尾の方に現れやすい文字です。
旧仮名遣いから取った「ヘウ」や、語尾に来るとほとんど音の違いがない「ヒョン」は票
の字には比較的適していると考えられます。
とくに選挙報道などでよく使用される 1文字の“票” には古典的な「ヘウ」を用いると歴史的な重みがあって良いかもしれません。
ただし票
の字を部に持つ標
の字があることから、もし音を変えればこちらにも影響することが考えられます。“標識” “標語” “目標” “標榜” など、こちらは語頭に来るものが目立ちます。表
ほどではないにしても影響はそれなりにあります。
語頭での 発音の しやすさを考えた場合は「ヒョン」の方が ふさわしいかも しれません。
氷
という字は水
と似ていますが、氷
を意味する偏の冫
と水
が合わさった文字で、水
の「スイ」の音はありません。
代わりに「ヒ」の訓読みがあり、“氷室” (ひむろ) などの熟語があります。
「ヒ」には「冷やす」など冷たさを表現する語感があり、そのまま長音化して「ヒイ」や上に挙げた「ヒオ」や変換衝突の少ない「ヒュウ」などの読みを当てるのに向いています。
入力の効率と音の近さで言えば「ヒオ」か「ヒイ」が適していると考えられます。元の音に近くするなら「ヒオ」、読みやすくするなら「ヒイ」が適しています。“薄氷”を「ハクヒイ」、“氷河”を「ヒイガ」と読んだとしても読みづらくもなく変換にも問題がありません。
豹
については動物のヒョウで、小型のトラのような動物を言いますが、文脈的に他の単語と同じ場面で使うことは稀です。“豹変(ヒョウヘン)する“ など いくつか熟語がありますが、単独では滅多に使われません。
その意味ではそのままでもあまり影響はないのですが、あえて動かすなら「バオ」が適しているでしょう。この発音は中国語の普通話のもので、語頭を上げていう(バオ↘︎)第4声にあたります。
吠える様子を連想させ比較的覚えやすく、かつ現代中国読みと一致するため学習上も効率的です。