“必死” は文字だけ見ると必ず死んでしまうという恐ろしい状態ですが、実際は「死にそうなほど」という誇張表現に過ぎませんが、良く使用されます。
対する “必至” とは、「必ずその状態になっていくだろう」という予言めいた言葉です。こちらは別に死を予言しているわけではありません。
至
の漢字は「いたる」と読み、この漢字は弓矢の矢が刺さる的(マト)を表すと言います。
似た文字に “致す”(いたす) というのも有ります。こちらは“する” の謙譲語になりますが、この漢字の音読みは「チ」です。
至
の字は日本語では「シ」としか読みませんが、中国語の拼音では「チ↘︎」(zhi4)となり、どちらかといえば「シ」より「チ」とした方が両方の面で都合が良いと言えます。
至
は屋
や室
などを構成する部品でもありますが、音を共有していません。音が変わってもあまり影響が出にくいと言えます。
もうひとつちょっと裏技に近いやり方ですが、「いたる」には “到る” という字もあります。
こちらは到着(とうちゃく)のように「トウ」と読みます。到
の字の右の旁は⺉
は「りっとう」と呼ばれ刀
(かたな)と同じ意味で、この字の音読みを引き継いでいます。矢のマトの横に刀を持つ人がいるかいないかの差で、実質あまり違いはありません。
ですから “必至” の代わりに “必到”と書いて「ヒットウ」と読む事にしてもほとんど同じです。
“必至”の方が動けば “必死” の読みはそのままでも良いですが、両方の単語をよく使う人は “必死” も変えたいと思うかもしれません。
しかし死
に関しては「シ」の他に動かしようがありません。凍死や餓死や焼死など、基本的に濁音がつくこともありません。ですので “必至” と区別するためには 必
の方に手を入れる方法しか取れません。
この場合 選択肢としては “必死” を「ヒツシ」として促音(っ)を用いず単語登録しておくなどが考えられます。