変
の字を共通に持つ語が2つあるため、体
と態
の字の音を動かす必要があります。
“変体” は「変えた書体」の意味で、“変体仮名” としてもここでもよく使われます。生物(セイブツ)の用語としても用いられます。うっかり“変態” と書くと失礼な意味になる ちょっとした罠です。
体
の字には“体裁”(テイサイ)のように「テイ」の音があり、これを用いて「ヘンテイ」とすると ひとまず区別可能になります。
この音は “書体”(ショタイ)や “文体”(ブンタイ)、“幼体”(ヨウタイ)や “成体”(セイタイ)のような熟語から、それぞれ音を引きつれてその関係性の中で成立しているとみられ、変体を「ヘンテイ」とするなら恐らく “書体”も「ショテイ」、“成体” も「セイテイ」とする必要が出る可能性があります。
しかし「ショテイ」は “所定” 、「セイテイ」は “制定” のような別の語と同じ音なので、一般化するには都合があまりよくありません。その意味では濁点を入れて「ヘンダイ」や「ヘンデイ」とする考えもあります。
態
の字は呉音漢音ともに「タイ」の音で、現在の拼音でもタイ(tai4)です。しかし体
と区別するのにどうにか動かす必要があります。
部の構成は能
の字と心
からできていますが、能
は通常「ノウ」または「ノ」としか読まれません。現在の中国の普通話拼音でも「ノン」(neng2)の方が用いられます。
能
の字を古くは「タイ」とする例も見られますが、そのような熟語が見受けられません。どこか別の地域にルーツを持つと考えられます。
内
(ナイ)から納
(ノウ)が生じる例があることから、「ナイ」の音が「タイ」と「ノー」に分化したとみる可能性も考えられます。“内裏”(ダイリ) のように「ナイ」を「ダイ」と読む例もあります。
そのため態
の字の読みを仮に古い方向に戻したり、能
の字の読みとの関連性を持たせて覚えやすくするなら、中間にある「ナイ」に ずらすということが考えられます。
ちょうど「ヘンナイ」であれば衝突する別の語もありません。また態
を使う“態度” を「ナイド」、“業態”を「ギョウナイ」などと読みかえてもあまり影響がなく比較的安定しています。
残る“編隊” は、編隊飛行 などのように使われ、航空分野や軍事などの専門用語です。その分野と無関係な人には ほぼ使う必要がありません。
“変態” と “変体” に それぞれ別の音を用いるならば、そのままでも良いと考えられます。
ただし隊
の字は “退院”vs“隊員”(タイイン)、“体調”vs“隊長”(タイチョウ)、“舞台”vs“部隊”(ブタイ)、“隊旗”vs“大器”(タイキ)など、他のところにもいくつか衝突があります。
部の構成に㒸
を持ちますが、“遂行”(スイコウ)の遂
や “墜落”(ツイラク)の墜
など どちらかと言うと「タイ」よりも「ツイ」「ヅイ」「ドゥイ」の ようなところに元々の音があると見られます。実際 拼音では「トゥイ↘︎」(dui4)が使用されます。
よって「ヅイ」(dui)と書いて「ドゥイ」と読むなど、積極的に別の字を使う方が都合が良い可能性はあります。(「ドゥイ」は入力が面倒であるのであくまで読み方の上だけに留めます)
入力に「ヅイ」を用いれば変換衝突を起こすことはありません。