発
の字に「コウ」の音を続ける単語が6つも あります。
発
の字の意味するところが、何か物を “発する” という他動詞的な使い方(発効・発声・発券)と、どこかを “発つ” または生まれるという自動詞的な使い方(発港・発生・発見)の両方の使い方が あるために余計に衝突しやすく なっています。
この字は發
が旧字体であり、明らかな他動詞であれば 手偏(てへん)の ついた 撥
の字の方を使って音を変えると整理がしやすくなるかもしれません(生
と産
のように)が、今のところはどうしようもないので「コウ」の側の音を整理するしかありません。
発
に続き熟語を作る「コウ」の音を持つ光
効
港
行
酵
航
のうち、「クヮウ」の合拗音をもつのは光
のみで、他は「カウ」「ギョウ」などになります。
このため光
には「クヮウ」や「クヮオ」「クァオ」などのカナを当てると有効です。
行
の字は1行、2行の「ギョウ」の読みが一般的で、“発行”は「ハツギョウ」とすると簡単です。
ほかに“行灯”(あんどん)や “行脚”(あんぎゃ) などで用いられる「アン」の読みもありますが「ハツアン」では“発案” に紛らわしいため適していません。
その他「ギョウ」は旧仮名遣いであれば「ギャウ」とも書くことができます。あるいは、「アン」と字との中間をとって、「ギャン」とすることも1つの案です。そうすると業
など別の字との衝突回避にもなります。使用しませんが、“発業” と勘違いされることを防げます。
港
は呉音漢音ともに「コウ」の読みで、再利用では古典仮名遣いで「カウ」とするくらいしかなく、近い読みで変則的な「カオ」や「クャオ」「クァオ」など、現代仮名遣いの先をいくやり方しかありません。
「ハッコウ」を古典的なローマ字にするとhakkôですが、ワープロ式ならhakkouです。これを kao、kau、kwao、kxaoなどの打ち方で代用することになりますが、打ちやすさの観点で言えば 「カオ」「カウ」「クヮオ」のあたりを割り振るのが妥当ということになりそうです。
効
も「コウ」ですが、この字は交
を部に持ち、絞
や咬
など他の字も「コウ」と読むため変更して他と違う音になると分かりにくくなり、一緒に変えるとすれば さらに影響が大きいため、変更は避けた方が良い字です。
酵
は「コウ」のほか、常用外の呉音に「キョウ」の読みがあります。これを旧仮名遣いにすると「ケウ」となります。「ハッコウ」は発音としては「ハッコオ」に近いため、その末尾のオ
をとって「ハッケオ」を「ハッケウ」の代わりとすることも考えられます。
航
も現代的には「コウ」とか読めません。これについては部首の共通な杭
の字にならって「クイ」としてしまうと「ハックイ」となって回避ができます。
「ハツ」・「ハッ」が多量の同音語を作ってしまっている関係上、薄
と白
はそれぞれ「ハク」や「ビャク」の方に逃がす方が無難です。
“八紘” は4つの方角とその中間で、全世界・世界中というような意味合いがあり、“八紘一宇” のような四字熟語がありますが、あまり日常的な単語ではありません。8つの方向をとらえるには当然その中心があり、そこには王や神のような権威を構える必要がありますから、地球が球であることや、現代的な国家思想とも噛み合わないものがあります。日本書紀にはこれを「あめのした」と表現する例もあるようですが、素直に「天の下」とするのに比較してあまりに分かりにくく、このような当て字は避けた方が良いでしょう。