日本語で「ボート」「ボウト」のように発音される複数の語です。
“暴徒” は日本語の普通名詞で、暴動を起こす人やその集団を示します。通常 これは漢字で書くので 書き言葉で衝突することはありませんが、発音すると他の語と ほぼ同じになります。
“boat” は 英単語で小舟を表わす普通名詞で、“ボート” とカタカナ表記され、ボートレースなどスポーツ競技などによってか 一般に広く浸透しています。
“vote” は 投票を表わす動詞または名詞ですが、日本人が発音で boat と区別することは めったに ありません。多くの場合、これは boatと同じくカタカナで「ボート」と表記されます。
表記上で混同しうるのは ともに “ボート” と書かれる vote と boatですが、boatに関しては 使う場面が 同じになることはほとんど無いでしょう。「お気に入りのボートにボートしよう」などと なかばジョークで 使われるかどうかと いうくらいです。
“暴徒” と “vote” は 選挙関連のニュースなどで、多少文脈としては離れるものの、かするくらいのことはあるかもしれません。選挙で投票所や政治家の演説場所に暴徒が現れたなどの報道は ときおりある話です。
vote という語は 2000年ごろから 海外製のウェブサイトなどで 気に入ったものを高評価するシステムがあることなどから 徐々に日本国内にもこの語を採用する例が浸透しています。またアメリカやイギリスなど英語圏の選挙関連報道映像で しばしば見られます。2007年くらいから「ボートマッチ」のような投票先診断ウェブサイトが日本の国政選挙でも展開されるようになり、この「ボート」表記が広がりを見せるようになってきています。
スペルからすれば voteは “ヴォート” とするのが 慣例的に最も自然です。英単語の v に対応するカタカナ表記としてヴ
を用いるのは、別に英語の発音を正確にするかどうかは重要でなく この例のように意味が紛らわしい単語を 明確化することに意義がありますが、簡便さのために バビブベボを使うものが 少なくありません。なかには「えらぼーと」など造語成分として 英語であることさえ 分からなくなるような使い方も見られます。
ウ
に濁点を付けてヴ
とすることに違和感があるなら、“ヴォ” の 代わりに “ブォ” とすることも考えられます。 v が f の有声音であると考えれば この表記は論理的に自然です。 小さいォ
を使うのさえも嫌なら、ヲ
に濁点を付けて “ヺート” と書くことも考えられます。この表記はヴ
が広まる前の時代に用いられた記法のひとつです。
漢字の “暴徒” は 文字上は ほかと 衝突することはないのですが、発音が問題となります。
徒
は 一般的な音読みは「ト」のみです。古典的には「ヅ(ズ)」の読みがあり、“徒刑”(ズケイ)・“徒罪”(ズザイ) の語があります。濁音化して「ド」と読ませることもできます。字形からイメージしづらいですが、土
を含む形声字とされます。
「ボウド」だと “board” と紛らわしいので「ウ」をはっきり読む必要があります。「ボウヅ」だと “坊主” と紛らわしいので、こちらは「ヅ」と書きつつも「デュ」(/dju/) や「ドゥ」(/du/) のようなやや変則的な発音が必要な可能性があります。